『グラン・ヴァカンス 廃園の天使I』/飛浩隆(ISBN:415208443X)感想

kennie2004-01-12


SFマガジン2004年2月号に久々に飛浩隆の中篇が載ったので、それを読む前に本編を、と手に取ったのがこの一冊。電子ブックで読みました。

飛浩隆といえば、陶酔感が味わえる幻想的な文章で云々と形容されることが多い作家。その中でも本作は、透明な叙情とエロスとグロテスクなんて評論されていたから、期待して読み始めたんですけどね。結論からいうと、わたしにはよく内容が理解できなかったです。

ブラッドベリみたいに、一読目は叙情的な文章を楽しんで、二読目で嵌り込む、みたいな思い入れまでにも達せず、なんとも想像が難しい世界を頭の中で具象化するプロセスが非常に疲れるというか。。。いいシーンはいくつかあります。ジュールとジェリーのパートは倒錯した愛が切なく語られていて良いです。でも、ジョゼとアンヌのパートは、アンヌの愛情はどうもお仕着せが強くいまいちノリきれない。。。

ストーリーは、千年続く仮想リゾートに突如襲い掛かるなぞの〈蜘蛛〉たちからこのリゾートを守るというもの。エヴァンゲリオン以来多い、目的も正体もよく分からない謎の敵に対して闇雲に立ち向かう主人公たち。。。これも新味にやや欠けますよね。

絶対に自分好みだと思ったんだけどなぁ。

あと、今日キーワードを見ていて、驚いた発見。『十二国記』の小野不由美って、綾辻行人の奥さんなの?